MONSTER BREAK THE CITY
世界ではモンスターによって様々なものが破壊され、
様々なことが停止することを余儀なくされた。
2021年、いよいよモンスターが姿を現し、
人間は“ファッション”という武器で向きあうことを選択した。
『モンスターとの共存』
人々が築き上げてきたカルチャーにまた新たな生き方がプラスされながらも、
ストリートから発信する“遊び心を忘れない想い”を表現した新シリーズ。
人々からするとコロナという存在は「憎いもの」といった印象を持っており、忌々しいもののはずです。
しかしこの忌々しいコロナを、人間は消し去ることができず、ワクチンなどの力を使って”共存”しようとしています。
MONSTER BREAK THE CITY(以降MBTC)は「モンスター=コロナ」として描いており、オリンピックに向けて築き上げてきた街を破壊しているモンスターを「モンちゃん」というアイコニックなキャラクターに落とし込みました。
「なぜ憎きコロナをアイコニックなキャラクターにするのか?」
これはキャラ化することで日常に取り込みやすく、それを目にするたび、自身に注意喚起できるのではないか?と思ったからです。
憎い憎いと眉間にしわを寄せたりするのではなく、”共存”しながら少しでも心を豊かにできればいいなぁという願いを込め、このようなキャラクターに落とし込みました。
BACK BORN
ファッションとカルチャーを打ち出しているT.H.Rのなかでも「現在」を表現している今シリーズは昨年リリースしたSSSというシリーズの続編というイメージで構成しており、ストリートサウンドが失われた昨年、何度も何度も立ち上がろうと奮起するもコロナは何度も襲ってきました。
これを書いている今現在も4度目の緊急事態宣言中で、何度も何度も都市を白紙にしてきたそんな様子を、ショップのディスプレイで表現しています。
このコロナを経験し「今の世の中がどんな色に見えるのか?」それは人それぞれなのだと思います。そんな人それぞれの色に見えるようにという意味も込めて、すべてを「白」にしました
ディスプレイは外注せず自社内で制作しており、このシリーズに対する思いをここにも投影してみたりしました。
今年はブランド設立25周年。
私は25年を振り返るのと同時にファッションや建築物、カルチャー、様々な過去を振り返ったりしています。
東京に限らず、大阪や京都にも行きました。
そこで感じたことは「古いものにはストーリーがある」ということ。見ただけで感じられるオーラのようなものがあり、シルバーアクセサリーにもどこかそれと同じようなものを感じていました。
今回のMBTCには、過去の原型を使用したブレスレットがありますが、それだけではなくもっともっと深掘りして思ったのが以下です。
コロナと並行してサスティナブルの観点から「ファッションは悪」という空気感が作られ始め、様々なブランドはSDGsなどの取り組みがマストな状況。
アクセサリーに使われている「銀」は銀山を掘り崩しているイメージを持たれる方もいらっしゃるかと思いますが、はるか昔から世の中に出回っている銀は「再生資源」が利用されています。
皆さんが持つスマホだったり、電化製品だったりにも使用されている銀がアクセサリーになっています。
このMBTCも、昔は皆さんが様々なストーリーを描いてきた製品が数パーセント入っているのかもしれません。(大袈裟ですがw)
こういった、知らずに輪廻している様々な思いと現状に対する思いが積み重なり、シルバーアクセサリーは深みを増しているのだと思います。
最後に
このMBTCは私の手書きをあえてそのままアクセサリーに落とし込んだり、”25周年””コロナ””オリンピック”というキーワードをもとに「我々の住む街や、ファッションの未来はまだまだ未完成である」ということを伝えたい。
そしてこれからもみんなの力で作り上げていくことが重要なんだということを伝えたいといった思いが込められたシリーズ。
そんな思いを、これだけポップに描いていることが「LION HEART」の表現方法です。
私たちはまだ、ファッションを武器に表現することしかできません。アクセサリーを着けたときの高揚感と未来を想うワクワクした感覚は似ているように思います。
小難しいことを言ってきましたが、こんなご時世だからこそファッションを楽しみ、アクセサリーを楽しむ。ファッションは死なない。ということで、皆さんに手に取っていただきたいと思います。