T.H.R×SHETA スペシャルコラボレーション「SIN-KA」
東京のストリートを多様に表現する「T.H.R」と、ストリートアーティストSHETA氏のスペシャルコラボアイテムが登場。どんな場所でも強い生命力で咲き誇る「花」をモチーフに、さまざまな「SIN-KA」を表現しています。熟練した職人の技術で、イラストの再現性にこだわり抜いた、LION HEART25周年を記念するスペシャルなアイテムです。
「スケートカルチャー」がインスピレーションの源
——イラストレーターを目指されたきっかけは?
両親の影響でアメリカのアニメをよく見ていたので、小さいときはそのキャラクターを描いてました。小学校の卒業アルバムには、将来の夢を「漫画家」と書いていたので、自然と目指していたという感じですかね。
——絵を描く以外は、どんなふうに過ごされていましたか?
湘南が地元なので、まわりにサーフィンやスケートボードをしている人が多くて、僕も中学生からスケボーで遊んでいました。スケートカルチャーって、音楽やファッションとか他のカルチャーとも繋がっていて、「グラフィティ(注1)」をはじめたのもそれがきっかけです。
もともと漫画やイラストを描いていたところにストリートの要素が混ざりはじめて、今のスタイルに。スケートカルチャーは、自分のインスピレーションの源だと思うので、「ストリート・アーティスト」と呼ばれるようになってきて、嬉しいです。
注1)一般には、壁や電車などにスプレーやペンキで描かれた落書きを指す。80年代以降、キース・ヘリングやバスキアの台頭で、美術館やギャラリーでも取り扱われるようになる。「ストリートアート」とも。
作品を通して、「LOVE&PEACE」を伝えたい
——作品制作のフローについて教えてください。
まず、キーワードを書き出して、そこからのインスピレーションでラフを描き、スケッチを起こします。今回のメインイラストは、事前にいただいたコンセプトや「東京」というキーワードを英単語に変えてみたりしながら、ラフを描きました。それをPCに取り込み、線の太さや配色を変えます。細部の調整ができたら、個々のイラストを組み合わせて、一枚の絵にしていきます。今回は、これまでで一番複雑なイラストになりましたね(笑)。
——創作するうえで大切にしていることや、テーマはありますか?
「LOVE & PEACE」です。小さいころから色んな人たちと仲良くハッピーに過ごしてきたので、作品を見る人にも、元気でハッピーになってもらえたら嬉しいです。「LOVE&PEACE」な考え方がもっと日本でも根付くと、暖かい世界になるのになって思ってます。
——SHETAさんの作品には「サボテン」がよく登場してますよね。これはどうして?
父が昔からサボテンをたくさん育てていて、身近な存在だったんです。花言葉を調べたら「枯れない愛」、「暖かい心」って意味があって、それってまさに「LOVE&PAECE」だ!って思って。ちなみに最近ネーミングしてもらって、「サボくん」と「テンちゃん」いう名前が付いています (笑)。
——クリエイターとして憧れ、尊敬している人はいますか?また、それが創作に反映されていたりしていますか。
画家のキース・ヘリング(注2)をとても尊敬しています。エイズについて正しく知って欲しいという活動をしていたのですが、一見難しいメッセージをポップに伝えられるって、すごいですよね。僕も、ポップだけどメッセージ性やパワーがある作品がつくれたらと思っています。
注2)1980年代のアメリカを代表するアーティストで、グラフィティ・アート先駆者の1人。自身もエイズに感染し、予防啓発のため「キースヘリング財団」を設立。90年死去。
東京の街は、憧れの人のいる場所から、勝負する場所に
——SHETAさんは東京のストリートに対して、どんなイメージを持たれてますか?
新たなファッションや音楽、色んなカルチャーが生まれる刺激的な場所というイメージです。学生のころは、ファッション誌に載ってる「憧れの人たちがいる場所」って感じでしたが、大人になってからは、「勝負する場所」に変わりましたね。
——東京を「勝負する場所」と感じるのはどういったところからでしょう。
友だちの個展に行ったり、音楽イベントでやばいラッパーを観たりとか、他のジャンルのクリエイションを見て刺激される。直接戦うというよりは、色んな面白いことをしている人が集まってくる土俵っていう感じで、お互い刺激しあえる場所という感じですかね。
多様なカルチャーをつなぐ、スケートカルチャーの柔軟さ
——T.H.Rのキーワードである、ストリート、ファッション、カルチャーの要素は、SHETAさんの創作活動ともリンクしているところがありますか?
スケートカルチャーがなければ今の自分はなかったし、そこからファッションや音楽も好きになったので、とても大切な存在です。スケボーをしている人って、仲間同士でもファッションは違ったりする。スケートボードがそれを1つにしてるので、そういう部分もすごいな、面白いなって思っています。スケートブランドのTシャツのグラフィックにも影響を受けていると思いますし、作品を描いているときも、やっぱり好きな服を着て作業してますね。
——僕もT.H.Rでは、いわゆるストリートって表現はしてないつもりです。「アクセサリー」として、どういうものであるかを大切にしていて、バックボーンにストリートファッションや、カルチャーの要素が感じられるようなものがいいなと思っていて。
僕もそんな感じです。絵の背景に、スケートや音楽、ストリートが感じられるっていう。今気づきました(笑)
SHETA×T.H.Rコラボレーションについて
——今回「SHETA×T.H.R」コラボのオファーを受けてくださった決め手はなんでしたか?
T.H.Rのコンセプトを聞いてワクワクしたし、以前から僕の作品を見ていただいていたことも嬉しくて、ぜひご一緒させていただきたいと思いました。共通の知人を介してというご縁も含めて、まさに「東京カルチャー」的なコラボで、新しいものが生まれる予感がしました。歴史のあるLION HEARTさんと初めてのアクセサリーコラボをすることができて、とても光栄です。
——ありがとうございます!コラボ作品のテーマは『SIN-KA』ですが、このテーマはどのようにして決められたんですか?
これも、作品を描く前に色々と書き出しました。進花(進化)と、深花(深化)と、新花(新化)と。「花」のイメージは、LION HEARTさん=ライオン、ダンデライオン=タンポポとなり、それを作品にせずとも描いているうち、「花」に繋がりました。
タンポポって、フランス語で「ライオンのキバ(歯)」という意味があるらしく、葉のギザギザが「キバ」に似ているからだとか。だからメインのイラストも、花の部分はタンポポじゃないですけど、葉の部分はタンポポからインスピレーションを受けたデザインにしています。
タンポポって、線路わきでも、コンクリートでも、どんな場所でも力強くきれいに咲いているじゃないですか。LION HEARTさんが25周年を迎えられたこととも、すごくリンクしてるなって思ったんです。時代が変ろうとも“自分らしさ”を見失うことなく、力強く美しいアクセサリーで咲き続けている。今回のテーマには、そんなメッセージも含まれています。
アクセサリーのコンセプトで、人生が変わる人もいるんじゃないか
——今回は、SHETAさんのイラストの「線」を再現するのにかなりこだわりました。最新設備や技術と、職人さんの手彫りや手磨きなどの熟練の技術の両方を使って実現できました。
本当に、めちゃめちゃ再現されていますね!
——このコラボを経ての、LION HEARTに対する印象をお聞きしたいです。
モノづくりのこだわりやコレクションの着眼点など、めっちゃ面白いですよね。コレクションの中にもシリーズがたくさんあって、ディティールにもこだわっている。アクセを身につけるだけじゃなくて、コンセプトを聞いて響くものがあるから、それで人生が変わる人たちもいるんじゃないかなって思いますね。
アートの力を感じて、グローバルな活動に意欲
——最後に、SHETAさんの今後の展望をお聞かせください。
日本に限らず、もっとグローバルに活動していきたいです。高知県と三重県で絵を描かせていただいてからますます、海外でもやりたいって気持ちが強くなりました。
子どもも大人も一緒になって手伝ってくれて、作品がカタチになっていくようすが、すごく心に響いたんですよね。あらためて、アートの力ってすごいなって実感しました。アートには、人と人とを繋いだり、人の心を動かしたりする力があるんだなって。この素晴らしい経験を、国境も人種も超えて、もっと様々な場所で様々な人々と共有したいと思っています。
今準備していることもあるのですが、状況的にどうなるか。でもとにかく、コロナが終息したとき、乗り遅れないよう常にエンジンだけはかけておこうと思っています。
——貴重なお話をたくさん聞けて、とても楽しかったです。SHETAさんの今後の活躍も楽しみにしています。今日はどうもありがとうございました!
「東京のストリート」という共通点で一緒にクリエイトすることができて、本当に嬉しいです。この記事で『SIN-KA』のコンセプトを知ってもらって、よりアクセサリーを楽しんでもらったり、身に着けることで、気分がアガったら嬉しいです。